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2011年7月30日土曜日

知名度up

今日会ったアメリカ人が、日本国総理大臣の名字のあたまに"BA"をつけて呼んでいました。

これまでアメリカ人と話していて、彼らに認識されているといえる総理大臣は小泉純一郎氏だけだったので、別の名前がでてきたことに多少驚きました。


2011年7月28日木曜日

減ったもの

コンビニの滞在時間

私の住む地域のコンビニというのは、ほぼすべてガソリンスタンドと併設されています。
そしてすべからく新鮮な食べ物など置かず、乾き物専門です。
20年ぐらい昔の、酒屋さんがなんちゃってコンビニに鞍替えして、あまりうまくいっていないような店・・・を想像してください。
そして煌々と輝く日本のそれとは対照的に、かなり節電モードで、むしろ薄暗いです。
東北の田舎町に奇跡的に残存している、個人経営なのに儲ける気すらなさそうなVHSレンタルビデオ屋を想像してください。

さらに、地域のニュースを見る限り、当地のコンビニは、日本のすき屋どころでなく犯罪のメッカです。レジカウンターが透明な強化プラスチックで囲まれ、お金や商品の受け渡しもカギの字になった経路(非常に表現しにくいですが)を介して、という店もあります。

少なくとも市街地にあるオーガニック専門のスーパーと比べると、客層が天地なのがシロウト目にも分かります。

というわけで、給油の会計以外では近づかない場所、よしんば入店したとしても一目算に立ち去る場所です。

日本にいたころは、どんなに遅くなっても仕事帰り必ず寄って、雑誌の数冊も買って帰っていたものです。

あれは別にしなくてもよかったことだったのかも、と思い始めました。

2011年7月27日水曜日

外をみるひと

みんな外が好きです。カフェやレストランでも、よっぽどな天気でない限り迷わず外のテーブルを選ぶようです。

ひとたび住宅地を歩くと、

1) 自分ちの庭でいつも道路側を向いて立っているおっさん
2) 自分ちの前にソファーを出して、家族で道路側を向いて座っている人たち
3) アパートの前のバス停のベンチを、昼夜構わず占拠して歓談しているグループ(そのアパートの住人)

とにかく人の気配があります。

最初のうちは、前を通るときに強烈な視線を感じて参りました。

しかし、自分が小さい頃、どこの家でも縁側でお年寄りが新聞読んだり、(今思えば)酒飲んだりしていたものです。

アレと同じだよな、と思うと気にならなくなりました。

麻酔科専門医試験攻略法3

(続き)
では、今度はじっくりやりましょう。前のステップで残した選択肢の用語を調べ、教科書を読み、そのトピックについてまとめる…をやってしまうと、試験当日になってしまいますね。

今度は、問題のtesting pointを見抜く練習をしましょう。
前回、正解を導くための単発知識を、三段論法程度の思考経路に加工しました。
今度は他の選択肢が違う理由を考えることに視点を置くのですが
1)正解の思考経路、またはベースの知識が間違っているとその答えになるのか
2)正解の選択肢の周辺事項であるか。だとすれば「こうすれば正しい」という思考経路を、正解の思考経路から矢印を伸ばして作ります。こうすると覚えやすく芋づる式に知識が増えますね。
3)まったく1)2)と関係ない情報であれば、基本的な教科書に書いてある単発知識であるかどうか確認します。もしそうでなければ「ただのかませ犬」というか「問題を難しく見せるためだけに混ざっている選択肢」の可能性もあります。これに足を取られると絶望します。

こんな感じで、情報の優先順を見抜いていきます。試験問題を作る人の気持ちになってみれば、「まず専門医として知っていてほしい情報」と「これは間違っていてほしくない情報」を正解やひっかけ選択肢にしますね。で、残りをうめるために、「正解を導くための基礎知識で、ある一部を勘違いすればそれになるだろう答え」や「やや難しい、あるいは些細なことだけど過去問でもでてる情報」なんかで水増しするわけです。

前回同様、やりっぱなしにせずに、短時間で繰り返します。これは最初はただの暗記でも、じきに思考回路をテストの様式に合わせて「そういう発想ができるようになる」ための作業になります。手持ちの単発知識から答えをひねり出す技術といえます。

これを数年分やれば、相当目が肥えます。時間があれば「知的アプローチ」を流し読みするだけで、まだ覚えていない、テストにでそうな重要な事項が浮かび上がって見えることでしょう。

その他Tips
.XY軸のあるグラフでものを考えられるようにしてください。曲線が何かの条件で「移動する」ような頭の使い方に慣れましょう。一番簡単なテキストから図を拾い出して簡略化し、白紙に自分で描けるようにしましょう。各軸が何を示すかを忘れずに。
.単発知識は語呂合わせでもなんでも、覚えてさえいればいいのです。
.なぜか理解できない、覚えられない言葉があります。小学生になったつもりで100回発音してみましょう。


さて、長々続いた試験対策も終わりです。

お気づきと思いますが、「勉強せずにラクに通す」ためのテクではありません。あくまで「学習の順番を違えた結果、勉強の途中で絶望してやめてしまわない」ための方法です。
どうも実例のない一般論ばかりになってしまいましたが、これは間違ってこれを読んでいる医療従事者でない方からの誤解を避けるためです。ついでに、私は試験の出題委員でも何でもありません。

また、医者になるような人たちですから、すでに自分の学習法が確立している方も多く、「何をいまさら」と思われる内容かもしれません。たまに存在する「目で写真を取れて忘れない」タイプの先生方からすれば「書いてるやつ、馬鹿なの?」って感じかもしれませんね。

問題集の内容に圧倒されてちょっと我を失い、勉強方が見えなくなってしまった方が落ち着くための手順、と言ってもいいかもしれません。

NBEのPTEexamや、JB-POTについては情報も増えてきているようなので触れませんが、もし希望が多ければ。

2011年7月26日火曜日

極東

つい数ヶ月前まで、普段使っているオフィスにはアメリカ人たくさんと私一人だったのですが、学期が変わって人員が入れ替わりました。

同じ列の私の隣が韓国人、反対隣が中国人、そして背後の少し離れたところに台湾人が来ました。
もうちょっとのところで地図と同じ位置関係ですが、それでもこの部屋の責任者の先生がわざとやっているのでは、と思わせる配置です。

2011年7月25日月曜日

アメリカの副作用

時間をまもらなくなる、取りあえず簡単に適当な口約束をしてしまう、などいくつかあります。

しかし中でも深刻なのは、「見た目に気を遣わなくなる」でしょう。

どんなイケメン、どんな美女でも、「大学名」とか「州の名前」がドスンとプリントされたパーカーやTシャツを着てうろうろしています。
これはこれでとてもラクなので、一度郷に従い始めると止まりません。

最近は暑いので、マラソン大会でもらえるTシャツを着ています。概してアレなセンスのものが多く、日本で着た試しなどないのですが、もう気にならなくなってしまいました。
なお、本日はブルーハワイ色のホノルルマラソン、昨日は純白に赤のロゴが入ったゴールドコーストマラソンでした。

ある旅行会社のアンケートでは、「もっとも旅行中おしゃれでない国民」に、米国人が堂々一位に入賞しておりました。

2011年7月24日日曜日

麻酔科専門医試験攻略法2 JB-POT, NBE: PTEexam (advanced)も同様

(続き)
医者になり、しかも専門医をとろうなどと考える人はどうしても真面目な人が多いため、
「答えの選択肢について、それが正解だという裏を取る」だけに満足せず、「外れの選択肢が外れである理由もしっかり調べ、関連事項も覚えよう」と思ってしまいがちです。

このスタンスは正攻法であり、とても正しいと思います。私もまじめなふりをしているため、そのように演じてしまいそうです。

しかし、各種専門医試験を受けるあたりの年代の医者は多忙です。「試験まであと2週間ある」と思っていても、その日の当直で大動脈解離の一つも入って徹夜になり、体調を崩して風邪をひいたまま、ルーチンワークだけをこなすだけで勉強時間がとれず、ついでにヘンな雑用が舞い込んだりしてそのまま試験突入・・・となってしまうものなんです。

というわけで、1問1問足元を固め、じわじわ学習していく方法より、「当たりの選択肢と、最後まで迷うであろうもう一つの選択肢」についてだけ調べると腹をくくって決めてしまい、まず問題集3年分を「比較的短い期間」で1周してしまうのです。時間をあけてしまうと効果が激減します。このためには、毎日ちょびっとづつ、よりはある週末なり夏休みの数日をつぶしてガッチリやったほうがよいと思います。

調べる、といっても、前に述べた参考書類は学生、初期研修医レベルのものです。該当する記述を探し、それを導き出すための基本的な知識を「欲張らずに」拾いだします。その基本的な知識から「3段論法」程度の範囲で答えに至る経路を説明できるように知識を加工します。

で、答えをあるていど覚えた状態で、5周程度繰り返します。本来は試験前日でやるようなことですが、今この段階でやるわけです。外れの選択肢を除外する理由がよくわからないまま進めるのは真面目な麻酔科医には罪悪感がつきまといますが、ぐっとこらえます。
しかし、こういう作業自体は医学部を出た人なら比較的得意なはずです。国家試験直前に、禁忌問題の問題集を何度も高速でチェックしたのを思い出して下さい。

ここまでくると、初めて問題集を紐といたときに感じた「範囲が無限にあるのではないか」という恐怖心が随分減っていると思います。そして、3-5年分やることで、何となく良く出る「お約束テーマ」と「この試験におけるものの考え方(タカのくくり方、ともいえます)」が見えてきます。そして、繰り返すことで「ぶっちゃけ今まであんまり使わなかった用語たちに目を慣らす」のが目的でした。完全に理解できていない用語でも、短時間のうちに何度も目にし、そして想起さえできれば、「何となくわかったもの」としてそれを使って多少は物を考えられるようになるでしょう。

そして、万が一この段階で前述のような理由で試験当日を迎えてしまっていたとしても、超ヤマを覚えているだけで、半分の問題は、選択肢を2つぐらいまで絞れると思います。

少なくとも、「1問1問じっくりやり過ぎて、定番問題の答えを暗記する前に、あるいは全体をカバーする前に試験を迎えてしまう」よりは、はるかに得点には結び付きます。

次の段階で、残り時間と相談しながら多少じっくりやります。

(続く)

2011年7月23日土曜日

あいづち

アメリカ人と会話していると、彼らが実に多く、そしてタイミング良く相槌を入れるのに気がつきます。
"cool" "sweet" "pretty" "fantastic"
みたいな感じで、もしかしたら心にも思ってなさそうな、前向きの言葉がポンポンでてきます。
意外とこういうのを真似するのが難しく、私は"well" "OK"ぐらいしか言えません。

研究室にいる中国人と、そんな話になりました。
で、流れで「日本語で、そういういい相槌はないのか?どんな状況でも使えるユニバーサルなやつは」
と聞かれ、考え込みました。

「とりあえず”ぎゃふん”と言っておけばよい。辞書に載っていないが、日本人にとって印象的な人物になれるであろう」

と答えてみました。

麻酔科専門医試験攻略法

卒後他大学の麻酔科に行ってしまった部活の後輩とのやりとりの中で、「専門医試験の勉強で絶望」とあったので、ちょっとそれについて。麻酔科医でない方は読み飛ばしてください。

前半の個々の知識を問う「一般問題」と、後半の「臨床問題」に分けて考えます。

臨床問題に関しては、ある程度教育的な環境(質問に対して「学術的に」答えてくれる先輩医師が一人でもいる、変なことをすると理由付きで手直しをしてくれる、そして外科系臨床科が一通りそろっている病院)、で水準程度の臨床をしていれば余裕だと思います。

この臨床問題でちゃんと得点できてしまうと、一般問題がボロボロでも人によっては受かってしまう作りのテストなので、「自分は勉強しなくても受かった」的な武勇伝を始める先輩がいてしまいます。なんか昔の医師国家試験のようですが、これが受験者の心を時に折ります。

(だったらそんなに頑張らなくていいのかな? っていうか、専門医取れなくたって失職しないし・・・)
と悪魔のささやきが聞こえてきそうですね。

まあここでは、どう「一般問題」を勉強して得点するかの話にします。個人的には、専門医試験はそういったややこしい少し学術的な知識を勉強する最初(で最後かも?)の機会と思うので、理解を伴う学習法を述べたいと思います。

ペーパーテストを受けたのは7年も前なので、多少古い本も含まれていますが、

専門医試験問題集5年分 :終わってみれば3年分ぐらいでもいいかも
標準麻酔科学: 青いやつ。章によっては文章の構成が支離滅裂でしたが、個々の情報は信じました。
集中治療医学: 日本集中治療医学会が出している青いやつ。学生や研修医が持ってるような
心臓・血管麻酔ハンドブック: 今はもっといいテキストがあるかもしれませんね
学生時代の生理学、薬理学のうっすい教科書、あと流し読み用に「知的アプローチ」

私が使ったのは以上です。
もちろん、ミラーや最新麻酔科学も持ってはいましたが、一般問題の対策には使いませんでした。

ノートを取りながら通読・・・はしませんでした。
それをやると、「本は薄いのにこんなに暗記事項があるのか」と絶望してしまうからです。「ミラーの関係ある章を読む」ことをしても同様の絶望感に襲われますのでやめときます。上述の「ささやき」が入り込んでくる心の隙間を作ります。

専門医試験勉強では、この「絶望感」をどう制御するかがカギとなります。
JB-POTや、advanced PTEexamも、「難しい超音波物理が前半にあって、後半に見覚えのある臨床問題」と、少し似た構成をしていますので、同じスタンスで合格圏内に入れます。

まず大事なのは、「初めて過去問の一般問題をみたときに、その場で全てを調べて覚えよう」と思わないことです。
1ページ一問調べるのに、ウン時間。残りのページ数をみただけで、負けそうになりますね。

(長文なので続く)

2011年7月22日金曜日

カラオケ

さすがに日本人が多い街ではないので、私たちが想像するようなカラオケ屋はありません。
と思っていたら、ボスの家の地下室がライブハウス兼カラオケ室になっていて、windows上で動くカラオケシステムが稼働してました。何と歌本までありました。
ボスの息子に「アメリカではこれが普通なのか」と聞いたら、「こんなのうちだけだ(苦笑)」なそうです。

ちなみに、この辺の一戸建ての家は、建物と同じ面積の地下室を持っているのが普通です。
多くは子供の遊び場ですが、ワイン蔵など、その家庭が何に力を入れているかの指標になって楽しいです。
一番びっくりしたのは、ビール工場でした。日本ではアルコール1%より濃いのを作ってしまうと酒税法違反ですが、こちらでは合法とのことです。

2011年7月21日木曜日

クラス替えしたのにいじめっこがついてきたような話

何とか逃げ切ったと思った先に、その逃げた対象がデーンと構えていることがあります。

高校時代、数学が嫌いで嫌いでやっと大人になって全てを忘れたら、15年もたって留学先で高度な数学的な解析(しかも日本語の参考文献などなし)をやるはめになりました。

そういえば、大学時代も「心電図とか心臓の働き」「体液の組成(電解質がどうこう)」「呼吸の生理学」「薬理学」が苦手で、テストを通す勉強だけして、後は逃げ続けていたはずなのに、いざ卒業してみればそれらややこしい分野の塊ともいえる麻酔科学に入門してしまっています。
今アメリカで研究しているのは、薬物動態という数学と薬理学がくっついた、私にとっては救いようのない内容です。

だからこそ、逃げずに立ち向かうべきである…という話にはなりません。
これからも、苦手なものからは全精力を傾けて逃げ続けようと思います。
その先でまたそれに遭遇するなら、それは過失でしょう。


でも、ときに「昔もっとやりたかったけど断念したこと」に助けられます。

数学は苦手でしたが、小さなころ玩具のようなパソコンでプログラミングをしていました。
そのため、細かいことは忘れてしまっていても、コンピューターを動かすための基本的な考え方がいくらか身について残っていたようで、それが今やっている研究の多くを支えています。
C++、エクセルマクロ、そして統計用にRといった言語を使っていますが、25年前のBASICとそんなに変わらないのに逆に驚いています。

2011年7月19日火曜日

ひとりごと

職場では日本語を解する人間がいないのと、周りのアメリカ人がとにかく喋りまくっている(突然叫びだしたり。別に、普通の人ですが)ため、こちらも独り言がだんだん大胆になっていきます。

別に人を貶めるような悪口ではないのですが、多分に自分を貶める放送禁止用語だったりするので要注意です。

差しさわりのないところでは、「ぷに」とか「ぽよん」とか言ってるかもしれません。

オールドタイプ2

Face bookにしろツイッターにしろ、基本的に文章が短いですね。

それを見た後に自分のブログを書いていると、とにかく文章が長い。なんか目に来ます。

もう、長いというだけで、うざがられる時代に入りつつあるのかも。

そうなったら、全て五、七、五でいこうかなと思います。

オールドタイプ

「医者の同級生に一斉メールをした場合、メールの返事が最も速いのは外国に留学中の人」

という話を聞いたことがあります。医者の留学生の大半は臨床(病院で患者を診る)ではなくて研究をしているという背景があると思うのですが、確かに研究が仕事のメインだと、パソコンに向かっている時間がとても長いです。日本の同級生のほとんどがそうであるような、臨床医ではこうはいきません。

さて、こうして常に目の前に検索ブラウザが開いているようになると、麻痺してくる部分があるのを自分でも感じます。

Googleで検索して出てこないとか、もともとの一次情報がすぐ手に入らないような情報に関しては、
「この世に存在しない、あるいは分からない」と見なしてしまう癖がつきつつあるのです。
自分がうまく探せていないだけかも知れないのに、「そもそもすぐアプローチできない情報に学術的に価値はない」などと開き直ってしまうふしすらあります。

実例をあげますと、以前は論文執筆にあたり、自分の言いたいことをサポートする一節を探して引用するためだけに、医大の図書館の地下に何日もこもって関係ありそうな古い書籍を片っ端から読む…ようなことをしていたと思います。私が文章というものに関してはアナログ志向なのを差し引いても、ほんの3,4年前の話でした。でも、今はweb上、図書館の電子化された文献、あと代表的な教科書の該当する章をさっと見て記載がなければ、それ以上探そうともしません。

身近な話で言えば、HPを持たない、またはGoogle map上に情報つきで反映されていないようなお店は、最初から検討の対象外になっている感じです。

飛躍しますが、これが転じて、なんかのきっかけで、e-mailを頻繁にやりとりしない人とか、Face bookの中で見つからないような人は、自分にとって存在しない…ようになってしまったりするんじゃないか?と錯覚してしまいます。まるでIT化反対派の人が言いそうなことです。

もちろん、実際はそんなことないわけです。
まめに連絡がとれるわけではないけど大切な友人と、アメリカの知られていない町で会って楽しくすごすこともあれば、達筆の毛筆で手紙を下さる年配の知り合いに、震える手(とボールペン)で返事を書くこともあります。

それでも、こういうことがあると少し安心します。
何に安心しているのかよくわかりませんが。

2011年7月17日日曜日

和魂鈍才

アメリカの医師に限らず、研究者や大学院生と接していて印象的なのは、彼らのプレゼンテーションにかける気合いの強さです。
まず言葉の量に圧倒されます。平気で一時間は喋る喋る。そして、ほとんど即興でも、プレゼンの基本的な構成を守っています。この辺はもう身に染みついた技術なのでしょう。

例え自分のデータが50枚のスライドの内1枚でも、世界で自分が最先端!というスタンスを崩しません。
というより、自分の知らない分野でも、素材さえあれば喋りきってしまう。これがアメリカのアカデミックな人たちなのかといつも驚かされます。

一方、私は暗記したことしか喋れませんので、ぎりぎり最低限まで切り詰めた原稿を覚えます。もはや字づらや音だけで物を覚えられる年齢でもないので、大層時間がかかります。
そして、想定される質問に対し、「これに結びつければなんとか答えられる」という回答を事前に10個ほど用意し、誰かに添削してもらっておき、これも暗記します。

別に読み原稿片手でもいいかな~とも思うのですが、ネイティブだって多分に格好から入っている以上、せめてここだけは・・・と死守しているラインです。むろん、近日崩れるでしょう。

あとは、テープレコーダーのように喋り、質問に対しては上述の10個の「どれか一番近いやつ」を答えます。
そうこうしているうち、質問者も察してくれるというものです。

この国では、喋り倒して相手を圧倒できない人間はそれだけで無能で、色々なところで損するようにできています。まるで日本のテレビ番組の中みたいだ、と思う時があります。


あるとき、どうも自分はいっぱい喋ることができない・・・と考え込みました。
しかし、すぐに気付いたのは「そもそも、自分は日本語の会話自体、スムースではない」ことでした。自分でもうすうす思っていたのですが、周囲の人によれば私は文章の途中ですら止まって考えているそうです。そんなにストレスフルな人だったのか、と思う反面、「じゃー英語でも無理だろ」と軽く諦めがつきました。

そうそう、去年日本に一時帰国した時、戦場カメラマンのワタナベさん(?)という人が人気でした。そのゆっくりすぎる話し方が面白いから、みたいな理由によるそうです。

私の感想は「どこが遅いのか?」でした。

2011年7月16日土曜日

覚えられない単語

分野によっては、何度使っても覚えられない英単語があります。
私の場合、食材です。

レストランで写真入りのメニューを置いているところなどめったになく、良くて料理の名前の下に2行ぐらいで「これこれをあんな感じにしたもの」と説明があるだけです。
店員に聞こうにも、「読めない英単語」を聞いて分かるはずがありません(個人的には、自分がうまく発音できない単語についても、聞いてすぐに認識できないことが多いです。知ってるのに)。
そこで、外食では、「どうせイメージしたものと違うものが出てくるものだ」と初めからあきらめて対応しています。

問題は、スーパーです。
セルフレジが主流です。パッケージングされてバーコードがついているような商品は、スキャンして終わりなのですが、そうでないものが問題です。
つまり、野菜や果物で、自分で適当な量を袋につめるようなもの。
レジについているタッチパネルを操作して、自分が袋に入れた野菜を探し出し、それをはかりに載せることで値段が表示されるような感じです。
この、検索がクセものです。

写真や分野(葉物野菜、とかハーブ、みたいな)でも選べるのですが、それでうまく探せなければ、名前のピンポイントで選ぶしかありません。

先日、もやしを買ったのですが、これがどのジャンルに含まれるのかわからず、レジを管理してるおばさんに聞きました。最初彼女は、私が端末の操作方法を知らないのだと思って2,3指示し、「あとは名前をいれるだけよ」と説明を終わらせようとしました。

「いえ、そうじゃなくて、これを英語で何というのかと・・・」

何を思ったか、次の日ももやしが食べたくなりました。

そして、レジの前で再び単語を忘れました。

悪いことに、係員は昨日と同じおばさんでした。

beansprouts

袋を持って近づくなり、即答されたのでした。

2011年7月14日木曜日

map mapper mappist

突然ですが、地図帳はお好きですか?

日本海溝の吸い込まれそうな濃紺
等高線が省略された、さもなくばいまだ前人未到であるかのように平坦な薄緑で塗られたシベリア
その1つ1つに名前がついているのさえ不思議に思えるカナダやロシアの北極圏の島々
そして白一色で表現され、その歴史の悲しさを無言で訴える南樺太(今は違うようですね。興味あるかたはちょっと検索してみてください)。

小さい頃、授業中は地図帳ばかり見ていたし、長じてからは各地の地図・古地図を買い集め、そして今はグーグルマップを肴に酒が飲めるほどですが、なぜかアメリカ大陸には全く興味がわきませんでした。福島県の左下とか岐阜県の余ってるあたりのほうによっぽど惹かれます。

別に幼児の頃「はだしのゲン」を見せられたからアメリカ嫌いになったとも思えません。「アメリカ横断ウルトラクイズ」もちゃんと見ていたのに、事実留学するまでロサンゼルスやサンフランシスコの場所も知らなかったのです。最近まで、なぜワシントンが右端と左端にあるんだとか思っていました。

理由を考えました。

多分、アメリカの形状と色使いが、いまいち関心を引かなかったんだと思います。

テロ対策

日本ではどうなのか分かりませんが、アメリカでは国内線乗るにも、保安検査でベルト、はおりもの、履物の全てを外す(脱ぐ)ように求められます。
機械的に靴を脱がされペタペタ歩いていると、理由は分かりませんが、これはものすごーくみじめな気分になります。もしかしたら、病院なんかでも知らず知らず、そういう思いを他人にさせているのかもしれません。

ついでに、旅行先の日本食材店で買った「ごはんですよ」が液体扱いで取り上げられたりして、言いようのない情けなさに拍車をかけます。

必要な手続きなのは分かりますが、保安検査場から駐車場まで伸びた行列に並びながら、「空港職員はどういう気持ちでこの作業をやってるんだろう」、あとついでに「牛や鳥エキスの使用を理由に回収されたインスタントラーメンはどこに消えるのだろう」とか思ってしまいます。

そう考えると、日本の空港は世界一ですね。少なくとも日本人として出入りする限りは、丁寧ですし。

印象深いのは、南樺太のユジノサハリンスク(豊原)です。函館からの小さなプロペラ機で着いて降りるなり、軍服みたいな怖い制服のおにいさんおねえさんが見張る小さな待合所に一時間ぐらい待たされて、やっと事務員が登場・・・そこから更に一時間待ち・・・みたいな感じでした。6年ぐらい前ですが、まだそこは何かとソ連でした。

2011年7月13日水曜日

セレブ

ネタ元がケータイサイトでみた「ロケットニュース」で恐縮ですが、アメリカの高収入職業ランキングのニュースがありました。

なんと、1位と2位が、外科医と麻酔科医です。ちなみに平均年収1800億千万円ぐらい。

(追加:中央値と標準偏差を知りたいですな…平均すればこうだけど、少数の稼ぎガシラが平均をあげているだけかもしれないので。「100人中、50とか51位の人がいくらか:中央値」とか、「平均(中央)値からどれだけのばらつきで分布しているのか:標準偏差」の方が、この手の統計では有用な情報だったりします)

驚きました。日本の職場ではお互いに「あーはなりたくねーな」(ヘンな意味ではないですよ。忙しそーだとか、普通の意味です)とか言ってる人たちです。
研究しながら医者をやっている人など、施設によってはワーキングプア状態の人もおります。
・・・一応、私が日本で籍を置いている雪国医科大学は違いますが。

国が変われば違うもんですね。

確かに、私が留学している麻酔科は、初期研修を終えた医者の申し込み倍率は軽く数十倍と聞きます。日本の地方大学に比べ、麻酔科が大人気です。その業界で有名な大学だからかな、ぐらいに思っていましたが、やはり収入という面からもあるのでしょうか。

日本では、医療で「ここに入って稼ぐぜ!」というスタンスを露骨に出す人はそこまで多くないですが、アメリカでは医療系のカレッジが「いい職を得て儲けよう!入学受付中」とでかい新聞広告を出すくらいです。

カラっとしてますね。

2011年7月11日月曜日

ウインカー

私の場合

車線変更3秒前から行動開始

「後続車のみなさま、僭越ながら近い将来、車線を変えさせていただく所存にございます」 点滅2回分
「再度検討いたしましたが、やはり当方、レーンの変更が必要と確認あいなりました」 点滅2回分
「後続車におかれましては、どうか、ここからの御加速は平にご容赦願います」 点滅1回分
「今まさに、このように車線を変更中でございます」 点滅4回分
「皆様、ご協力ありがとうございます。ご覧のとおりめでたく右方向のレーンに移動することがかないましてございます。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」 点滅2回分

アメリカ人

「さっきレーン変えた」 点滅0.5回


こんな感じなのでいまだに運転が恐怖なときがあります。なにせこっちの人は、たとえ自動車学校に行った人でも、3日目には高速に乗ってレッスンは終了し、あとの二日はペーパーテスト対策、ですからね。

2011年7月10日日曜日

殺虫兵器

日本で言う100円ショップダイソーみたいなのがアメリカにもありまして、私の住む地域には"Dollar tree"という、「なんでも1$」のお店が点在しています。

現在1$は80円台でして、加えて一般的に商品の質が日本に比べてアレなアメリカですから、それなりの心構えで利用する必要があります。まあ、ホームセンターに行くほどでもない、使い捨てのどーでもいいものを探しに行く、という使い方ですね。


先日、家に大きなハチが入り込みました。1$殺虫剤を、1本使いきるのではないかというぐらい噴霧しましたが、びくともしません。

最終的には、その殺虫剤のボトルで殴って退治いたしましたとさ。

日本祭り

市内に唯一ある寺で行われた盆踊り大会にでてきました。
在留邦人はそんなにいないのですが、たまにこの手の日本イベントがあります。

たくさんのアメリカ人が「これは日本的である」と思う格好で参加してくるので、これを見物するのが本当の目的です。


日本=コスプレ

という式が確立しているらしく、普段のイベントでは孫悟空やナルト、セーラームーンだらけになるのですが、さすがに夏祭りは和服で来るべきとわかっているようです。

それでも、「タイガースのはっぴ」「新撰組の隊服」「上はポロシャツ下は弓道のはかま」など、何と言うか全開状態を堪能できました。


さて、日本人があまりいないと書きました。
20万都市なのですが、領事館の張り紙によれば「約700人の日本人が在住していると”推測”されます」

なんかの絶滅危惧動物のようです。

2011年7月8日金曜日

英語の得意な日とダメな日

今日はなんだか喋れるとか、喋れないとかいうことがあります。

英語を話すと言っても、所詮

①脳みそに記憶された単語などの断片

②それらを必要に応じて取捨選択し、つなげる回路

③発音する口、のどの動き

から構成されているわけで、上記のルートのどこかに支障をきたしているわけです。

どこか、といっても一つを重点的に鍛えるとか、逆に一つだけがどんどん劣化していく、ということはない印象があります(ひとつひとつバラバラの単語を、見るだけで一切発音しないような勉強法…中学生のようですが…をしなければの話ですが)。


個人的には、「朝仕事に出る前に、数十分練習したかどーか」で決まる気がします。それも、日本語の短文から英語の短文を想起して言うような原始的なやりかたです。一応、上記ルート全てを刺激するので。

こんなことをしなくてはいけないのもきっと、10代に徹底して鍛えたわけではないし、一日の全部で英語を使用しているわけではないので、いつまでたっても板につかない「借り物の技術」だからなのでしょう。大人になってから暇なときに練習する楽器であるとか、スポーツとかと同様ですね。


ここでしょげていてもしかたありません。もはや飛躍的な能力の向上はない、と自分を見限ってしまい、大人しく日々同じ素振り練習を続けるのも一つの手かもしれません。どうせそれをやらない日はダメなんですから。

私はこのような後ろ向き思考が大好きなのですが、これを推奨する人はあまりいませんね。いわく、成功者は全て前向きであると。

しかし、英語の勉強のような地味なことについては正直どうかなーとも思います。
あまりにポジティブ思考で、「自分はできる、一度やったことは覚えている…」とぶつぶつ念じているようなやりかたをする人がいるとします。
なりたい自分をイメージして背伸びし続けるのは、ポジティブ業界ではスタンダードなやりかたなのかもしれません。
しかしその結果、ただの努力目標を自分の”あるべき”能力と履き違えてしまい、まだ達成していないはずの高みから、まだ自分がそこにいるはずの低いところを見下すような気持ちになってしまうかも。そんな状態では、心のバランスがおかしくなります。で、そのギャップを埋めるために「高みにいる人がやっているだろう(と思われる)こと」ばかりに目が向くようになり、結果的に「大きなことばかり言うけど、基本的なことの確認や復習をしない人」に成り果てる危険もあるような。
私だったらきっとそうなりますな。

2011年7月6日水曜日

アメリカンジョーク

ロデオの大会で、5歳ぐらいのこどもがMCとしてちょっと登場しました。
で、

「snowmanとsnowwomanの違いは?」

「スノーボードの有無」

なそうです。

ロデオ

 独立記念日を祝うロデオを見に行こう、と指導教授の家族に山奥の小さな町に連れて行かれました。ロデオというのはROUND1のようなゲーセンで、あるいはダイエット器具を用いて「行う」ものだと思っていたので、観戦とはいかにと思いながら到着すると、思った以上に大きなイベントでした。
 何せ、市街地から1時間ほどの、日本なら「村」レベルの集落に、数千人が集まっているのです。
 普通だったらフットボールか野球のスタジアムがあるべきところに「ロデオ専用」の競技場がどっしりと構えているではないですか。
 内容としては、
    暴れ馬や牛に8秒乗る。落ちないだけでなく、その間の「かっこよさ」が点数化される。なお、動物を暴れさせるために、選手は両足のかかとにとがった物をつけているそうです。
② 逃げる子牛を馬で追いかけ、投げ縄でつかまえたあとに飛び乗って倒し、足をロープで縛る。10秒以内には終わる。
③  同様に子牛を馬で追いかけ、飛び掛って素手で制圧する。5秒が目安
 こんな感じのが色々続きます。
 観客がアメリカ人であることを差し引いても、最初は異様な盛り上がりが奇妙に思えます。しかしすぐに観るポイントが分かってきます。
 ちなみに、落馬したり投げ縄に失敗したりすると、スタート1秒後でも、あっという間に今年は終了、また来年です。
 こういう(試合時間/練習時間)比が極端に小さそうなスポーツは、儚ない感じがして趣がありますね。
 学生時代にやっていた、武道系の競技がそうでした。まじで瞬殺されます。



2011年7月3日日曜日

電話

日本に持ちかえるべき英語能力ってなんだろうとたまに思います。

あの分野は外国じゃなくてもできる、これも日本で十分伸ばせる・・・などといちいち除外すると、電話だけが残りました。もちろん、日本からスカイプで国際電話する手もありますが、こればかりは、現地で鍛えるべきです。①伝えたい・解決したい用件がちゃんとある②相手に直接会うなど、内容確認の別の方法がある、が必須だからです。

言うまでもなく、電話は必ずしも良くない通信状態で、表情・口元も見えず、複雑な事項を図で示すこともできない。会話の難易度が一気にあがります。

どうにかしてメール連絡に持ち込みたいのですが、なぜか周囲のアメリカ人や各種サービス機関は、電話が好きです。そして電話をうまくやるには、話の流れの先読みなど、実際の英語とちょっと違う能力が必要になります(まあ日本語でもそうなんでしょうが)。

最初はトレーニングと称して適当な店に質問電話をかけたりしてました。イタ電勉強法です。

しかし、最近は方針を変えています。

電話をするにあたり、相手が何を言おうが、自分の言いたいことを一方的に喋り、主導権を握ってしまうのです。こうすると、こちらからは簡単な質問と、「つまり、そういうことね?いいのね?」で済みます。日本で要求される聞き上手をやめてしまえばいいんです。会話が上手にはなりませんが、少なくとも用件は済みます。

考えてみれば、日本のおばちゃんとか、医者とか、電話に限らずそんな感じな人も多いですがちゃんと生活してますしね。

2011年7月1日金曜日

やけっぱちシーズン

6月-8月 夏休みシーズンなので、新しいことはやらない感じ。研究室もなんか閑散としてます。

ちなみに、10月-12月は、ハロウィン、サンクスギビング、クリスマスなのでそわそわして仕事が手につかないのが見ていて分かります。

そんな感じなので、昨日も口を開いたのは、研究室の中国人留学生と、”英語風の何か”で雑談したことだけですね。
それも、最終的にはGoogle翻訳の英語-中国語とか使って筆談してました。

でも「英会話が上達するようでは、研究をしっかりやってない証拠なので、医学留学としてはダメ」というやけっぱちな格言をきいたこともあります。

他の分野は分かりませんが、医学の研究って、一人で黙々と単調な作業をしていたり、文献を読んだり書いたりなことが多く、まったく会話しない日なんてザラな気がします。